そう、私はBOSSと共に取引先で行われた午前中の会議に出席。資料を読み返しながら一人、某コーヒーショップでほんの一時の休息をとっていたんだ。
すると、一人の女性がやってきてこう言ったのさ。
「あの、ここあいてますか??」
目をやると20代半ばくらいだろうか、びしっとしたスーツに身を包んだ若い女性が立っていた。そう、釈由美子似で羞花閉月・・・とはいかないが容姿端麗、なかなか見栄えが良い女性だ。
「フッ、、、この歳でまさか逆ナンをされるとは思ってもみなかったが、君のような若く美しい女性が一体何を考えて私に声を掛けて来たのかは聞いてあげても良いと思っているんだ。」
といつも通りに答え、、、
ようと思ったら私の隣の男性に声を掛けていたみたいで、「あ、どぞ♪」と私の隣の男性が答え、隣は相席となった。
おわかりいただけるだろうか、この時咄嗟に答えなくて本当に良かったと思った「あぶねぇぇぇぇぇー!」という自分自身の心の声を。。。
変な汗をひっこめながら、別に聞き耳を立てていた訳ではないのだが、ちょっと苦味のきいたコーヒーを嗜んでいると他愛ない世間話が聞こえてくる。2人の会話は弾んでいるようだ。男性は心なしか嬉しそうに見えた。会った事ないけど(笑)
ただ、私には大きな疑問があった。
人の価値観というのは人それぞれ。特に美的感覚や趣味なんてのは他人のそれに口を出すのは野暮である。
・・・である。・・・がどうだろう?かなりポジティブに見積もってもモテるタイプではない隣のこの男性に何故この娘が逆ナンを仕掛けたのだろう??
そんな疑問を持ちつつも会社のスマホでジャンプを読む事を覚えた私は「月曜日」という事もあり、数インチの画面の中に広がる世界の中で海賊王への道をまた一歩踏み進め、隣の席の事なんざすっかり忘れかけたその時、
「実は私、こーゆー仕事してまして。」
と逆ナン娘が名刺を男性に手渡した。この瞬間に「あれ?」と私は何か違和感を覚えた。男性は「そうなんですね、じゃぁ僕も名刺を・・・」と隣のテーブルで名刺交換が始まった。名刺は見えなかったので男性は何をしている人間なのかは判らなかったが、女性はどうやら何かの会員権的なものの販売をしているようだった。
そこから先は御察しの通りである。「ハンコが無い」と男性が答えるとちょっと他の話をした後に「家に行ってみたい。」と言い出す女性。男性の自宅がある近くのマクドナルドにたまに行くらしい。「そうなんですか!僕もたまに行くんです。」と答える男性。その後は完全に来宅モード。
「おいおい、完全に乗せられてるよあんた。マクドなんてどこにでもあるだろーが!多分西荻窪なんて下りた事ねーよその娘!家に来ても何も出来ないよそれ?ハンコ押さされるだけだよ?君自身のハンコは『押印不要です。』って言われるだけだよ?先っちょさえ押せないよ!??」
とツッコミたくなりましたがそこはスルー。私は生憎カップが空になってしまってね。こんな事ならグランデサイズをオーダーしておけばよかったよ・・・アディオス☆
カフェを出た私はビルの間窮屈そうな青空を見上げながら思った。きっとそうやって都会のスパイスが加わり、男性は少年から大人になっていくのだろう。イヤなものはイヤと言える気持ちを抱き締めて頑張れ、隣の席の男性よ・・・
end
キャバ嬢って野生でいるんですね。まだまだ知らない事がたくさんあるなぁ。僕も女性には気を付けよう。店のブログ全く関係ないな。今夜もご来店お待ちしております。と思いました。
11年11組11番 くろだ あきひさ