ほっ、ほるたれさっ!!
と思わず言ってしまいそうになるテキーラがやってきました。
はい、「フォルタレサ」です。現在アニェホが入荷しております。
メキシコ、ハリスコ州バジェス地方ロス アブエロス蒸留所 (NOM 1493)
某テキーラソムリエさんからおすすめされた。ってこともあったのですが、なかなか物語があるテキーラだと思いました。
「フォルタレサ」の誕生は2002年。創業者の名は「ギレルモ・エリクソン・サウザ」
ちょっとテキーラ知ってる人なら、
「創業2002年?新しい。」
「え?サウザ?あのサウザ?」
となると思います。そう、あの世界で最も知られているテキーラの一つ、“サウザ”の創業家であるサウザ家の5代目にあたる人物がギレルモ・エリクソン・サウザさんです。
実は「サウザ」というブランドを作ったのが「サウザ家」。ギレルモ氏の4代前、高祖父にあたるセノビオ・サウザ氏が1873年にテキーラ造りをスタート。
このセノビオさん、世界的テキーラの創業者というだけでなく、テキーラを初めて輸出した人物。それまでは「メスカル」に大別され特別呼び名がなかったお酒のラベルに初めて「テキーラ」と記した、いわば名付け親。ゆえに“テキーラの父”と称される人物でもあります。私たちが「テキーラテキーラ」言えるのもこの人のお陰ですね。
更にセノビオさんの孫であり、ギレルモさんの祖父、サウザ家3代目のハビエル・サウザ氏は、テキーラの原産地呼称制度を提唱し、今に続く制度確立の功労者としても知られています。
ところがサウザ家は1976年に事業を他企業に売却、「サウザ」というブランド名は残り、当時3か所持っていた蒸留所のうち2か所を売却。「サウザ家」はテキーラ造りをやめてしまいます。
ところがギレルモさん、幼いながらに祖父達のテキーラ作りを見て、一族の伝統とテキーラには特別な思い入れがあったそうで、1999年にテキーラ造り再開を決意。1900年頃に建てられサウザ家が1976年に売却せずに所有していた「ラ・フォルタレサ蒸留所」に目を付けます。この蒸留所、事業売却に先立って1968年に操業を停止してミュージアムとして残っていたそうです。
「これこそ祖父たちが残してくれたもの」
という気持ちで復興スタート。ただ、建物が古いというだけでなく、30年以上も停止していた蒸留所の復興は本当に大変だったそうです。ところがギレルモさん、不屈の精神で2002年に蒸留所を復活させます。約30年振りに「サウザ家」によるテキーラ造りが復活したんですね。
しかもギレルモさん、「こだわり」が凄いらしく、使用するアガヴェは勿論、祖父達の時代と同じ製法に拘っているそうです。
・原料
テキーラの原料ブルーアガヴェ、そのピニャ(球茎部)は通常45kgくらい → フォルタレサは110kg以上。生育に時間がかかるんですが、出来上がったテキーラはバジェス地方の辛味の多いテキーラとは異なり、辛味の少ない柔らかな味わいになります。
・加熱
ピニャの糖化は、近代的な「アウトクラベ(蒸気圧力窯)」では約8時間で済みますが、昔ながらのレンガ造りのオーブン「マンポステラ」で30時間もの時間をかけて加熱することで、アガベ特有の青さが減り、香りにバター様のアロマが加わります。
・搾汁
糖化されたピニャは「タオナ」と呼ばれる今ではほとんど見られなくなった珍しい石臼で、約7時間かけてゆっくりと搾汁。ほとんどの蒸溜所で使用されているシュレッダー機はバガスといわれる繊維質を細かく切断してしまいますが、「タオナ」は繊維質を壊さないため、テキーラに不必要な雑味が加わりません。このタオナ、ボトルのエチケット部に描かれています。是非見てみてください。
・発酵
発酵槽はステンレスではなく、昔ながらの木製。この木桶がテキーラに独特な風味を与えてくれます。バガス(繊維質)を取り除いたモスト(糖液)のみを3日半かけて自然発酵。
その後は銅製のポットスチルによる2回蒸溜。熟成にはチャーを施したバレルを使用しています。いずれも高祖父の代から用いられていた伝統的な設備。近代的な設備に比べ工程を終えるのに倍の時間と高い技術力を要しますが、全ては“テキーラの伝統”という宝物を残してくれた祖父たちへの敬意から、その伝統(方法)を継承すると決めたそうです。
直訳すると、「要塞」「砦」になるんですが、「フォルタレサ(不屈の精神)」という意味合いが込められているそうです。ちなみにこのフォルタレサ、中身が全く同じなんですが、メキシコ国内では「ロス・アブエロス」という名前で売られているそうです。直訳すると「祖父母」。「おじいさん達」って意味だそうです。
ご先祖様のやっていたことを復興させるだなんて、何だかちょっといい話に聞こえてきてきますよね。
俺もジーンズ作ろっかな??