毎年この時期にやってくるアードベッグの限定ボトル、今年は

HEAVY VAPOURS(ヘビーヴェーパー)

直訳すると「重い蒸気」となる訳なんですが、アードベッグを作る際、ポットスティルで蒸留した時の蒸気を指すようです。

公式によると、

「ピュリファイアー(精留器)を取り除くとアードベッグはどないなるでしょうか?これが最強のアードベッグになるんですわ~」

ってことがテーマみたいなので、ピュリファイアーを通さないアードベッグを作ったって事になります。

そもそもアイラ島ではアードベッグしかピュリファイアーを使用していませんので、他のアイラモルトじゃこのネタは使えないって事になります。

蒸留した蒸気が精留器を通過→再び液体に戻って原酒となる・・・簡単な流れはこんな感じなんですが、温度変化であったり、銅製の蒸留器との接触時間の増加だったり、アードベッグのフルーティーさはこの精留器が肝と言っても過言ではありません。

アードベッグ公式からは↓こんな動画も今回出ていました。ピュリファイアーをヴァイパーくんが取り外す様子が見れますねw

コチラは公式動画

まぁ文面で見てもよくわからないので、実際に飲んでみました。勉強のために。。。

左:ヘビーヴェーパー 右:TEN

大切な事なのでもう一度言います、「勉強のために」です。はい。

え?そりゃ並べて飲まないとわからないでしょ?TENとヘビーヴェーパー。何度も言いますが勉強のためですヨ?コリーヴレッカンはウーガダールは今回は勘弁してやりました。

まずは色味の比較。

暗い店内だとわかりにくいのでトーションとカレンダーを使ってホワイトバックに。


TENの方が色味は濃いです。HVの熟成は1stフィルと2ndフィルのバーボン樽を使用との事。TENも同じ樽を使っているので、条件は近し・・・といったところ。ノーエイジだからHVの方が色味は薄いんでしょうか。

続いて香りに関してですが、TENだけ嗅ぐと「あぁ、いつものやつ・・・」って感じです。HVを嗅ぐと随分強烈なイメージです。香りの第一印象は「重厚」。粘度高めなオイリーな感じです。あと湿った土ってイメージだったりカカオ感強めのダークチョコを思い浮かべました。不思議な事にTENをHVの後に嗅ぐととても優しい印象になります。ここでTENは「フルーティー」なんだ!って気になりましたw

続いて味に関してですが、HVの方は濃いめのブラックコーヒーのような舌触り。そしてめちゃスパイシー。そしてやはりダークチョコだったりミントのような爽やかさも感じ取れました。HVの後にTENを飲むと「めっちゃ飲みやすい!」と感じました。アードベッグがですよ?(笑

まぁもともとアードベッグはアイラモルトの中でも飲み疲れしにくいモルトのイメージだったんですが、今回でそれがさらに増した感じがします。ラフロイグ10年とかと比較するとやはりアードベッグTENの方が飲みやすい感じしますし。あ、ラフロイグ10年とかラガヴーリン16年のような重さがHVにはある気がします。

余韻に関してはほんわかした余韻が長く続きます。ピート香がずっと口や鼻の中にいるあの感じとは全然違います。アイラモルト飲んでるの忘れるくらいスッキリして・・・はないけど最初の香りから連想するほど強烈なピート感は残りません。

私なりにHVを総評するとかなり「アリ」です。芯の強さが全面に出て来たアードベッグであり、芳醇な香りが楽しめ、後味の変化もまた面白いウィスキーです。

さて、気分がフワフワしてきたので今日はこの辺で。え?酔っぱらってませんヨ?まぁ、百聞は一飲にしかず。是非一度お試しになってみてください。